
人を恐れなくなったクマと北朝鮮 5月30日
「バカボンのパパ」「レレレのおじさん」…。赤塚不二夫さん原作のマンガ『天才バカボン』の最大の魅力は、登場人物の強烈なキャラクターである。昭和50年にテレビアニメ化するにあたって、プロデューサーの楠部(くすべ)三吉郎さんは、「本官さん」に注目した。
▼何かといえば拳銃をぶっ放す、物騒なお巡りさんである。赤塚さんの父親は、旧満州で警官を務めていた。楠部さんは「本官さん」をけっして悪役にしないように、スタッフに命じた。実際アニメでは、一度も銃を人に向けていない(『「ドラえもん」への感謝状』)。
▼北朝鮮がまたもや弾道ミサイルを発射した。今年に入って9回目となるミサイルは、日本海のEEZ内に落下した。近くで漁船が操業していたら、あるいはタンカーなどが航行していたらと想像すると、ぞっとする。日本政府が厳重に抗議するのは当然である。
▼先進7カ国(G7)首脳会議でも、北朝鮮問題を「新たな段階の脅威」と位置づける宣言を採択した。米太平洋艦隊は、朝鮮半島周辺に2隻の空母を展開中である。もっとも、国際社会の悪役として完全に開き直った北朝鮮は、強気の姿勢を崩さない。
▼先週27日、秋田県仙北市の山林で、タケノコ採りをしていた61歳の女性が、熊に襲われて死亡した。女性は熊よけの鈴を携帯していたという。県内では昨年、熊が人を食物と認識して襲う被害もあった。人を恐れなくなった熊はますます凶暴化する。
▼北朝鮮もまた、今後ミサイル開発を加速させ、牙をむき出しにしていく。これまでのような生ぬるい制裁では、まったく抑止効果が上がらない。石油の禁輸を徹底するぐらいの強烈な圧力をかけないと、行き着く先は、日本に向けての攻撃である。
http://www.sankei.com/column/news/170530/clm1705300003-n2.html