https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45716860V00C19A6FFE000/
中国独禁当局、フォード合弁に罰金、米中摩擦が背景か
2019年6月5日 15:49
【北京=多部田俊輔】中国の国家市場監督管理総局は5日、独占禁止法に違反したとして米フォード・モーターの中国合弁会社に1億6280万元(約25億円)の罰金を科すと発表した。米中貿易摩擦が激しくなるなか、中国当局が米国を代表する自動車大手を標的として米国側をけん制したとの見方も出ている。
中国当局の発表によると、フォードと中国国有自動車大手、中国長安汽車集団の合弁会社、長安フォード汽車が2013年から重慶地区で販売会社に対して最低価格を指示したという。地域の企業間競争を阻害して消費者の利益を損なったとして、年間販売額の4%の罰金を科す。
独禁法と米国企業を巡っては、上海市当局が16年に米ゼネラル・モーターズ(GM)の中国合弁会社に対し、最低価格を販売先に示す独禁法違反があったとして2億元の罰金を科した。18年には米クアルコムのオランダの半導体企業の買収について中国当局が承認をしなかったこともある。
米中貿易摩擦はハイテク分野の覇権争いに拡大し、トランプ米政権は中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)に対する包囲網の構築を急ぐ。一方、習近平(シー・ジンピン)最高指導部は米国に対抗せざるを得ないとしており、「フォードはやり玉にあげられた」(関係者)との見方もある。